コラム

クローズドクエスチョン・オープンクエスチョンで会話をコントロールする

いきなりですが質問です。

あなたの会社の営業スタイル、あなた自身の営業スタイルは、下の4つの内、どのポイントに1番力を入れていますか? 営業マンでない方であれば、どのような営業トークを1番力をいれますか?

考えすぎたり、理想的な回答ではなく、まずは「素直な」回答をしてみてください。

1.自社の歴史や理念

2.他社と比べて、自社商品の優位な点

3.自分という、”担当者”の魅力や熱意

4.相手が持っている課題のヒアリング

いかがでしょうか?

あなたが営業マンであれ営業マネージャーであれ、自分の信じる「営業スタイル」「セールスプロセス」というものを持っているかと思います。

あの商談はうまくいった。あのプレゼンは失敗した。など、誰しも成功体験・失敗体験を重ねて、自分の営業スタイルが完成していくわけです。

例えば、車の販売数でギネス記録を持つジョー・ジラードのエピソードは「3.自分という、”担当者”の魅力や熱意」を大切にしていたものが多い気がしますが、「優秀な営業マンはヒアリング上手だ」と、ヒアリングの重要性を説いています。

営業の神様になるのは決して簡単な道ではないでしょう。何万人、何十万人といる同業の営業マンの中で抜き出た努力は必要不可欠です。そして時流や人との出会いという”運”も味方につける必要があるでしょう。(ジョージラードは時流に恵まれないときでさえ断トツの販売台数を記録してますが笑)

神様ではないにしても、「社内でトップ営業マン」になるのは、やはりヒアリングなくしてはあり得ません。しかし「ただ質問して話を聞けばいい」というものではありません。

喫茶店で仕事をしていると、隣の席で保険営業や不動産営業がおこなわれている瞬間に出会うことがあります。おそらく会社でヒアリングが大事だと習ったのでしょう。ヒアリングのために質問をしようと習ったのでしょうか。

営業相手のなにを聞き出したいのかわからないですが、ひたすらに質問を重ねてにしている営業マン。しかし会話が広がっている様子はありません。

ただ質問をしているだけで、効果的な質問をしていないのです。だから一番聞きたいこと、聞かなければいけないことはきちんとヒアリングできていないのです。

では、どのような質問をすれば、聞きたいことがヒアリングできるのでしょうか。トーク例を使いながら解説したいと思います。

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンで会話をコントロールする

繰り返しになりますが、セールスプロセスの中で、お客様の課題をヒアリングするときやお客様に判断をしてもらうクロージングのときなど、様々な場面で「質問」は有効な手法です。相手の状況に合わせて適切な質問を行うことで、商談の成功率を高めることができます。

その質問には「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」の2パターンがあることをご存知でしょうか。それぞれの質問方法が有効なケースを知り、今の商談をもっとランクアップさせましょう。

クローズドクエスチョンとは

クローズドクエスチョンとは、「はい」か「いいえ」で答える質問です。以下のような質問が、クローズドクエスチョンにあたります。

Q:朝ごはんを食べましたか?

Q:最近いい出来事はありましたか?

Q:犬と猫ならどちらが好きですか?(二者択一)

クローズドクエスチョンには以下のメリットがあります。

  • 確認が簡潔に行なえる
  • 聞き手が主導権を握れる
  • 相手が悩まずに答えられる

逆にデメリットは以下の通りです。

  • 会話が単調になりがち
  • 相手は話したい内容を十分に話せない
  • 相手は面接をされている印象を受けやすい

たとえば、頼んでいた業務が完了したかどうかを仕事仲間に確認したいときは、「○○の件、終わった?」というクローズドクエスチョンを用いれば、答えは「うん、終わったよ」「ううん、まだ終わっていないよ」のどちらかに限定されるはずです。

一方、「○○の進捗はどう?」という聞き方をを投げかけると、「もう少しで終わりそうなんだけど」「あまり進んでいなくて……」のような、玉虫色の答えが返ってくる可能性があります。すると、「もう少しってどれくらい?」「具体的にはどれくらい進んだの?」と、確認の質問を重ねる必要がありますね。

状況を詳しく説明してほしいならオープンクエスチョンが有効な場合がありますが、シンプルに「やったか/やっていないか」を確認したいだけなら、クローズドクエスチョンで充分でしょう。答えの範囲を限定できるため、質問側がやり取りの主導権を握れるのが、クローズドクエスチョンのメリットです。

また、クローズドクエスチョンの答えは2種類しかないため、相手が返答に悩みづらいのもメリット。上記の例だと、「進捗はどう?」といきなりオープンクエスチョンを投げられた相手は、「締切はまだ先だけど、もしかして、もっと早くやってほしいのかな」と相手の意図を推し量ったり、「『どう?』と言われても、どんな種類の情報をどの程度の量で求められているんだろう……」と考えたりして、答えるのに時間がかかってしまうかもしれません。相手を不要に悩ませないため、クローズドクエスチョンで尋ねるのが親切な場合もあるのです。

オープンクエスチョンとは

クローズドクエスチョンとは反対に、オープンクエスチョンは、「はい」や「いいえ」では答えられない質問です。以下のような質問が、オープンクエスチョンにあたります。

Q:朝ごはんは何を食べましたか?

Q:どんないいことがありましたか?

Q:好きな動物はなんですか?

オープンクエスチョンには以下のメリットがあります。

  • 多角的な情報が手に入る
  • 相手に主導権を与えられる
  • 相手によく考えさせることができる

逆にデメリットは以下の通りです。

  • 自由に回答できる分、回答までに時間がかかる
  • 想定していた回答と違う答えが返ってくる場合がある
  • 質問によっては、答えそのものが出てこないことがある

たとえば、「先日発売した新商品ですけれど、SNS上での反応はどうでしたか?」というオープンクエスチョンを担当者に投げかければ、「すごくよかったですよ。1日で3万回以上リツイートされていたので驚きました。リプライも好意的なものばかりでしたし。自分でハッシュタグを作って写真を投稿している人もいました」のように、相手は考えを自由に話してくれることでしょう。

一方、「新商品の反応はよかったですか?」というクローズドクエスチョンには、「新商品の反応はよかったはずだ」という質問者の考えが見えます。仮に反応が悪かったとすれば、聞かれた側は答えづらく感じてしまうでしょう。

オープンクエスチョンは答え方を限定しないため、質問側が予想もしていなかった情報がもたらされる可能性があります。そして、聞かれた側に会話の主導権を与え、質問側の先入観を押しつけないので、不快感を抱かせづらいのです。

また、オープンクエスチョンの答えは無制限なので、「どう答えるべきか」と相手に考えさせることができるのもメリット。上記の例だと、「どうでしたか?」と抽象的に尋ねられた相手は、「相手はどんな情報を求めているのか」と積極的に考え、どんな情報を伝えるべきか、省くべきか自分で判断したわけです。

オープンクエスチョンは相手を悩ませるぶん、深く考える機会を与えるものなので、相手の成長につながります

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの両方を使いこなて、会話をコントロールする

クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンには、それぞれ異なるメリット・デメリットがあることがわかりました。クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンの特性を知り、状況や目的に応じてうまく使い分けるべきなのですね。では、どのように使い分ければよいのでしょうか?

生命保険の営業を例に、お伝えいたします。

山田さん、初めまして。○○生命保険の小嶋と申します。今日はよろしくお願いします。

さっそくですが、山田さんは現在、生命保険にご加入されていますか?

 →いいえ、まだ入っていませんよ

そうですか。ちなみに保険に興味ってありますか?

 →いやー、興味はあまりないですね

そうですか。保険はいつごろ入ろうかと思います?

 →そうですね、結婚したり子供が生まれたらですかね

家族が増えたときってことですよね。そしたら独身のうちは保険は必要なさそうですか?

 →そうですね。いまは死んでも誰にも迷惑かからないし、まだ必要ないですね

わかりました。ただ独身の人にも喜んでもらってる貯蓄型の商品があって、まずはどれだけ増えるかだけでも見てみませんか?

 →まあ、見るだけなら・・・・

これはダメな例ですね。あまりダメな例を長々と書いても仕方ないので途中で終わらせていますが、この先の展開は想像通りでしょう。この山田さんは保険に加入されると思いますか?

質問はしていますが、営業マン自身が質問の意図やストーリーを持っていないので、見込み客の回答は単調なものです。

しかし、営業マンが質問の意図やストーリーを持っていれば、同じような質問をしても、広がり方が変わります。

山田さん、初めまして。○○生命保険の小嶋と申します。今日はよろしくお願いします。

さっそくですが、山田さんは現在、生命保険にご加入されていますか?

 →いいえ、まだ入っていませんよ

ありがとうございます。ちなみに保険に興味ってありますか?

 →いやー、興味はあまりないですね

そうですよね。保険に興味津々って人、毎日保険の仕事してても、ほとんど出会わないですよ。でも、今回貴重なお時間をいただいて、こうやってお会いしてもらってるわけですけど、なぜ私と会っていただけましたか?

 →紹介者の鈴木が「勉強になるから聞いてみろよ」って言ったからですかね。

ありがとうございます。では山田さんに「ほんとに勉強になったな」なんて思ってもらえるようにしますので、楽しみにしてください。もう少し質問させてほしいんですけど、保険にまだ入られていなくて、興味はないということですが、もし山田さんが保険に入ろう!って思うとしたら、どんなタイミングになりますか?

 →そうですねー。やっぱり結婚とか子供ができて、家族ができたらじゃないですかね。

そうですよね。実際多くの人がそのようにおっしゃるんです。ちなみに山田さんは、なんで家族ができたら保険に入ろうって思われたんですか?

 →自分に何かあった時、迷惑かけたくないからですかね

そうですよね。万が一の時にお金が必要になりますからね。ただ山田さん、今回お伝えしたいのは、実は保険って、何かあったときだけでなく、「何もなかった時にもお金がもらえるよ」ってお話なんです。保険でそんなことができるって聞いたことありますか?

 →なんとなく聞いたことがあるよな気がします

さすがですね。実はそうなんです。保険には貯蓄機能・運用機能もあるんですね。山田さんは貯蓄とかは普段されてますか?

 →銀行でやってますね。ほとんど増えないですけど。

(中略)

実は、独身の方にも喜んでもらている貯蓄型の商品があるんですが、ただこれ、山田さんに必要かどうかはわからないんですよ。今日が初対面なので、勝手に山田さんの人生プランを想像して持ってくるわけにもいかないですし。

そこで今から、保険に入る入らないは別として、これから山田さんが理想とする人生プランにどれだけのお金が必要なのか、そしてそれはいつのタイミングなのか、そのためにどんな方法で準備するのが最適なのかを考えてみる時間って、山田さんにとって無駄な時間になりそうですかね?

 →無駄ではないですね

ありがとうございます。そう思っていただけてよかったです。では、今度は山田さん自身のことについてお伺いしていきますね。

良い例では、まだまだ商品提案は行いません。あくまで解決策としての保険商品として提案するため、ヒアリングが続いていきます。実際はもう少しすっきりとした話法にしていくのがベストでしょう。

誰しもが無意識に持っている答えを、言語化することで見込み客自身に気づかせ、考えさせる質問を重ねていく。

「なぜ話を聞こうと思ったか」「なぜ結婚してからなら保険に入るのか」など、WHYが重要な質問となる。

「なぜ」を重ねすぎると、見込み客は尋問を受けているように感じるので注意

いかがでしょうか。

実際の営業現場では、良い例のようにスムーズに運ぶことばかりではないでしょう。想定外の回答や、逆に質問があったりすることもあります。人間関係がすでにできているようであれば、いきなり本題に入った方がよい場合もあります。

ですが、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョン、それぞれが有効なシーンを意識し、うまく使い分ければ、あなたのコミュニケーション能力や営業成績は飛躍的に高まりますので、何度もロールプレイングを行い、多彩な質問パターンを身につけましょう。