障害者試行雇用事業

初めて障がい者を雇用するとき、あるいは初めての種類の障がい者を雇用するとき、現制度のなかでいちばん使いやすいと考えられるのは障害者就行雇用事業(トライアル雇用)の制度です。

障がい者雇用のきっかけづくりをねらったもので、試行雇用期間3ヵ月の間は有期雇用契約を結ぶことになります。

お試し期間のようなもので、適応できるかどうかお互いに確認して、本雇用に進めるかどうかを決めることができます。

職業安定所の紹介で試行雇用を実施する事業主に対しては、1人月5万円の奨励金が支給されます。

企業は3ヵ月間の試行雇用終了時に雇用継続か打ち切りかを決めます。

なお、打ち切っても解雇にはなりません。

この特徴が、制度が、障害者就行雇用事業(トライアル雇用)の特長です。

職業適応訓練

障がい者の採用にあたっては、当人の適性を確認するために、雇用を前提とした現場実習をすることができます。

実習終了後には当人との話し合いの場を設け、現場実習で問題がなければ採用に結びつくものとなります。

この実習は職場適応訓練として、障がい者に適した作業について6ヵ月以内(重度の場合は1年以内)の実施訓練を行なうもので、職場環境への適応を容易にするための制度です。

この訓練を行なう場合には、公的支援として訓練生1人につき事業主に1ヶ月2万4000円(重度の場合2万5000円)が委託費として、また、訓練生には1ヵ月平均約13万8000円の訓練手当が支給されます。

ただし、この訓練を実施した場合には正式採用後の特定求職者雇用開発助成金の対象とはなりません。

短期職場適応訓練

また、実際に従事する予定の仕事を体験させることにより就業の自信を与えると同時に、企業も配属先の職場への適応性を確認することを目的とした短期の職場実習も可能です。

この場合は、原則として期間が2週間以内(重度の場合は4週間以内)で、訓練生1人につき、事業主に対しては日額960円、重度については1000円(1回の実習につき限度額2万4000円、また重度については2万5000円)の訓練費が、訓練生には1日平均4700円の訓練手当が支給されます。

この短期の実習終了後に採用された場合には、特定求職者雇用開発助成金の対象となりますので、詳しくは公共職業安定所に相談されるとよいでしょう。

なお、職場適応訓練と短期職場適応訓練の制度は採用を前提として行なう訓練で、障害者試行雇用事業と異なり訓練終了後は引き続き雇用することになります。

雇用できない場合には公的な資金援助は利用できないこともありますので、あらかじめ本人にもその旨の確認をしたうえで制度を利用する必要があります。

もちろん、このような公的支援を必要としない場合は、当人と(必要に応じては保護者とも)話し合ったうえで、現場での訓練をすることも可能です。

また、企業によっては養護学校などからの依頼で現場実習を定期的に受け入れ、職場での実体験の訓練に協力しているところもあります。

これらの場合、学校の先生や福祉作業所の指導員などに間に入ってもらい、実習条件や事故発生時の取り決めなどを明確にしておくほうがよいでしょう。

最近の傾向としては、特に知的障がい者の採用を検討する際に長期の実施訓練を活用して職場適応を判断している場合が多くみられます。

採用を決定してから職場適応が困難だと判明することも多いことから、これらの制

度を活用して雇用ミスマッチが生じないように判断できれば、雇う側、雇われる側とも安心して企業就労の検討ができると思います。

職業準備支援事業

なお実際の職場を活用して障害のある人の労働習慣の習得や作業能力の向上をはかるための実習を行なう事業として、公共職業安定所では「就業体験支援事業」、都道府県所在の地域障害者職業センターでは「職域開発援助事業」を事業所に委託して実施しています。

これらの事業は、障がい者の職業能力の向上を主眼としているため、実習を行なった事業所での採用を前提としていませんが、実習期間中にその人の適性や能力を理解できることから、採用に結びつく例も多く、このような制度の利用を検討してみるのもよいでしょう。

実習の受託のための条件など詳しいことは公共職業安定所や地域障害者職業センターに相談してください。

職場適応援助者による支援事業

知的障がい者、精神障がい者などの職場適応を容易にするため職場に職場適応援助者(ジョブコーチ)を派遣し、きめ細かな人的支援を実施することも行なわれています。

これは、各都道府県に設置された地域障害者職業センターにおいて、適当と認められる社会福祉法人などの協力機関と連携し、支援を実施するものです。

支援の内容としては、職務を円滑に遂行するために必要な技能に関する指導、たとえば上司の指示を守って作業を行なう、職場の整理整頓、挨拶、報告、相談などのコミュニケーションなどの習慣の確立に関する指導援助や、同僚らに対し、配属された障害者の特性についての説明などを行ないます。

対象となるのは次の2つのケースです。

・職場実習の時点から必要に応じて就職後まで支援する場合……最高通算

6ヵ月間

・就職後,職場でトラブルが生じた際の支援・……最高8ヵ月間

ジョブコーチは、各地域障害者職業センターに各6名(東京・大阪は12名)、協力機関活用の場合は各地域障害者職業センターごとに10名をそれぞれ配置しています。

ジョブコーチの養成研修は、障害者総合職業センターおよび地域障害者職業センターで行ないます。

ジョブコーチは本来、各企業で適任者を選び独自の指導援助を行なうことが望ましく、そのほうがより実情に即した指導が可能です。