「障害者」という言葉で、雇用に障害が生まれている

ここ数年、「障害者の雇用を増やそう」とか「もっと障害について理解してほしい」「障害というだけで落とされるのは差別だ」といった声が強まっています。

しかし、まだまだ障害者雇用が進んでいるとは言い難いのが現状です。

確かに障害者は普段の生活や職場での業務において、何かしらの「障害」があるから障害者なので、そうでない人と比べるとできないことはあります。

しかし、だからといってできないことばかりだというわけではありません。

「障害者」という言葉だけで「できないことが多くて仕事にならないんじゃないか」「トラブルを起こされるのは困る」といった、漠然とした不安を抱いてはいないでしょうか。

正しい知識を身に付けて、1人1人に合った対応をすれば、障害者でも社会での活躍はできるのです。

障害のある人が向いていると言われる仕事って?

専門スキルの必要な職が良い

発達障害や精神障害の人は、たくさんのことを1人でそつなくこなすようなオールマイティな仕事はあまり向いていません。

そのため、基本的には専門的な知識やスキルを必要とする専門職の方が得意です。

平均的な1戦力として捉えるのではなく、「デザインといったら田中さん」のように、その人のプラスの面をうまく活かしたチーム運営が必要です

ネットビジネスの世界に障害者を雇用する

前項で「障害者は専門職が良い」とお伝えしましたが、より具体的にいうと「ネットビジネス」が最適です。

ネットビジネスとは、インターネットを用いた戦略やビジネス展開のことで、次のようなものを言います。

  • Webマーケティング
  • SNS運用
  • 広告運用(リスティング広告など)
  • Webライティング
  • Webデザイン
  • Webサイト制作
  • プログラミング

これまで、ネットビジネスにあまり力を入れてこなかった企業もあるでしょう。

今からネットビジネスに進出しようにも社内には高度なスキルをもった人がおらず、収益が見込めずにうまくプロジェクトが進まない。

そのような企業こそ、新たに障害者を雇用し、ネットビジネスに本腰を入れてみてはどうでしょう。

とはいえ、何の問題もなくスムーズにことが進むとは限りません。

新しいことを始めたり、今までとは違うやり方に変えたりするときには誰でも不安を感じるものです。

そこで、実際に障害者を採用した企業や就労移行支援事業所の例を3つご紹介します。

障害者採用した企業の3つの実例

【1】東急リバブル株式会社

5年ほど前から障害者を積極的に採用しています。

不動産仲介という業務の特性から、「人に寄り添う」「相手の求めていることを考える」社風がもともとありました。

そのため、身近に障害者がいるということが社内でスムーズに受け入れられました。

とはいえ、この「人に寄り添う」「相手の求めていることを考える」という考え方自体は今の時代、どの業界にも通じるものです。

したがって研修などでこういった考え方を早くから教育することは、障害者の受け入れもスムーズに進み、社員たちのスキルアップにもつながるため、一石二鳥といえるでしょう。

【2】株式会社KDDIチャレンジド

社内清掃やビルメンテナンスに障害者を採用。

元々外注していた専門の業者からノウハウを学び、高度なスキルを習得。

1人で担当の場所の全ての工程を行うわけではなく、複数人でチームを組み、全体で全ての場所を掃除できるよううまく回しているそうです。

1人で完結できなくても、全体で目的を達成できればOKという考え方は非常に重要だといえます。

また、離れた場所にいても随時、報告・連絡・相談をできるようにトランシーバーを携帯しています。

【3】就労移行支援事業所ZUTTO(ずっと)

発達障害・精神障害者が自身の体験や実例を、講師として「話す」場を新たに作成しました。

話すテーマは多岐に渡りますが、メインはWebマーケティングやSNSや広告の運用、職場での人間関係についてなどがあります。

当事者が自身の体験を講演やセミナーの形で話すことは多くの企業が参考にできるため、障害理解に大きく貢献できます。

まとめ

「障害者」という言葉の先入観によって、様々な社会的障壁が生まれています。

しかし一口に障害と言っても、一人一人その特性は違っているのです。

障害があるからこそ向いているという業務も当然存在していますので、まずは「障害」「障害者」というものを正確に理解して、障害者雇用の促進に繋がればと考えています。