障害者雇用

知的障害のある社員の通勤はどこまで対応すべきか

小嶋翔

企業としての対応範囲

知的障害のある社員の雇用全般の問題としては、個人的な生活支援と職業上の生活支援との線引きがむずかしく、雇用の場を提供する企業側の負担感が大きくなります。

企業として対応すべき範囲は、基本的には就業時間内、事業所内と考えます。

しかし、実際には知的障害のある社員の通勤に関しては、家族や施設関係者による指導を中心としながら、企業が協力をしているケースが多くみられます。

知的障害のある人たちの通勤寮から通っている場合は、指導員が通勤に慣れるまで個人指導をすることが多いようです。

問題なく通いはじめても、事故などで通勤経路を変えなくてはならないようなときには対応がむずかしいので臨機応変な配慮も必要となります。

通勤援助者の委嘱

企業が配慮している具体的な例としては、日常の業務指導や職業生活指導の一環として本人と話し合い、社員証明書や連絡先を明記したカードを常時携帯するようにしてトラブルに備えたり、通勤途上で困ったことがあったら会社や家庭に連絡をするように指導しているところがあります。

また、最寄り駅や交番などとの日頃のつきあいや協力のなかで、トラブル発生時に備えておくことも役立ちます。

ある企業では、同じ経路で通勤してくる社員が時々見守るような環境ができ、小さなトラブルは知らないうちに解決されているそうです。

社員同士が困っているときには自然と声をかけるような関係がつくられることは望ましいことで、大きな問題に発展させない防止策といえます。

また、企業が知的障害のある社員のために通勤援助者を委嘱する場合などにも、重度障害者通勤対策助成金の活用が可能です。

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