障害者雇用

知的障がい者の採用を検討したいのですが、福祉作業所などで働いている人の採用は難しいのでしょうか?

小嶋翔

授産施設・福祉作業所からの採用

平成10年7月から、身体障がい者に加え、知的障がい者の雇用も義務づけられ、法定雇用率も1.8%に引き上げられました。

多くの企業では法定雇用率の達成のためにも、さらに障害のある人の採用を進めていくことが求められます。

当然のことながら、身体障がい者だけを採用の対象と考えていると雇用率達成は困難になります。

知的障がい者の雇用はこれまで規模の小さい企業を中心に行なわれていましたが、改正以降、特に新しい特例子会社の設立時に、知的障がい者に合わせた業務を開発して採用に挑戦する企業がふえてきています。

今後、知的障がい者の雇用をさらに進めるには、養護学校などからの新卒採用は別として、福祉作業所や授産施設などで働いている人のなかで企業就労が可能な人が対象となります。

これらの施設ではかなりの割合で企業就労が可能な人が働いています。

ところで、福祉作業所や授産施設などでは、できるだけ一般企業での雇用をめざして、日頃から訓練を積んでいるところも多いようですが、なかには企業就労を進めることで重度の知的障がい者だけが残ることへの懸念から企業就労に対して後ろ向きな対応もみられます。

また、施設側が積極的に企業就労を進めても、当事者の家族がそのまま福祉作業所で働かせてほしいと申し出ることも少なくないようです。

家族にとってみれば、現状で問題なく生活しているのをわざわざ環境を変えて苦労をさせたくないという思いがあり、またもし企業でうまくいかなかったら授産施設や作業所へは戻れないかもしれないという不安もあり、これらが企業就労に消極的な理由としてあげられています。

今後、施設側も障害者試行雇用事業(トライアル雇用)制度を活かし、企業就労に向けた訓練も取り入れ、可能なかぎり企業が雇用できるような訓練が望まれます。

また、企業での雇用にうまく適応できなかった場合には、施設で再受け入れのうえ訓練するような関係が生まれれば、企業も安心して雇用することができ、さらに知的障がい者の雇用が促進されることになります。

障害者雇用支援センターなど

知的障がい者の雇用義務化に際しては、福祉の現場と雇用の現場の協力体制が欠かせないとして、企業サイドから行政に対し労働行政と福祉行政の枠を超えた支援の確立を引き続き要請していますので、こうした阻害要因は少しずつ解決していくと思われます。

いずれにしても全国の福祉施設には現在でも企業就労を希望する知的障がい者が多くいますので、通勤可能な範囲の施設に採用の意思を明示することからはじめることをおすすめします。

また、地域によっては、知的障がい者の就労援助センターや通勤寮などで就労希望者を把握しているところも多いので、問い合わせをしてみるとよいでしょう。

こうした施設の連絡先や所在地は地域の福祉事務所で入手できます。

また、障害者雇用支援センターでは福祉作業所などの入所者や職場定着が困難と思われる障がい者の職業的自立をはかるため、福祉部門と雇用部門が連携しながら、市町村レベルで就職・職場定着に至るまでの相談・援助を行なっていますので、問い合わせてみるとよいでしょう。

障害者就業・生活支援センターでは、職場への定着が困難な障がい者を対象として、身近な地域で雇用、福祉、教育などとの連携の拠点として連絡調整を行ないながら就業、日常生活、社会生活上の支援をしています。

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