車椅子を使用している社員の職場配置について配慮すべき点は?
車椅子への対応策
車椅子を使用している場合でも障害の種類によって、また個人の障害の状況や体格などによって配慮事項が異なるので、一概に考慮すべき点を述べるには無理があります。
ここでご紹介するのは、車椅子を利用していることへの一般的な配慮と考えてください。
まず、通勤に関しては自分で運転して一人で通うことが可能な場合が多いので、自家用車による通勤を可能にする配慮が必要です。
車椅子には手動と電動があり、頸椎損傷などで手の力が弱い場合は電動車椅子を使用していることが多いようです。
現在、市販されている電動車椅子の大半は、重量もあり頑丈なつくりになっているものがほとんどなので、自分で運転して自家用車で通勤してくる人でも、自分で折りたたんで車に積むことはできません。
多くの場合は、通勤時は手動の車椅子を利用し、職場で電動車椅子に乗り換えるようになります。
そこで、会社の駐車場が屋内ならその近くに、屋外ならば出入口の近くの建物内部に、電動車椅子の置き場を確保すると便利です。
電動車椅子はバッテリーを積んでいて利用していないときに充電する必要があるので、置き場には電源のコンセントを高さを考慮して設置しておくとよいでしょう。
また、手動・電動を問わず車椅子には一定の広さの通路やエレベーターなどが必要となります。
机の幅や高さなどは、使用している車椅子やその人の体格などによっても異なりますので、実際に職場が決まってから個別に検討するほうがよいでしょう。
ファイルやキャビネットなどは、4段のものは下2段を利用するというように、あらかじめ決めておくと使いやすくなります。
タイムカードの刻時機の高さの確認、コピー機などのボタンの位置や高さも必要に応じ確認しておきます。
コピー機や飲料の自動販売機などは、最近では障害のある人に配慮した変更も可能になってきていますので、メーカーに問い合わせるとよいでしょう。
トイレの改善
職場での机の位置については、部屋の広さなども影響するのでむずかしい面もあります。
しかし、トイレの利用に普通よりも時間を要したり、利用の頻度が高い人もいますので、出入口の近くに配置するなどの配慮も場合によっては必要となります。
トイレに関しては最近、車椅子専用の立派な施設を備えているビルや企業も出てきていますが、既存の設備に手すりを設けたり、ドアの位置を変えて奥の個室を広げたりすることで対応が可能な場合もあります。
ですので、改善工事については本人の体格や障害の状況を確認したうえで検討すればよいでしょう。
緊急時の対応
安全の面からは、緊急時の避難を考えると高層ビルの場合、できれば低層階に配置したいと考えますが、最近では車椅子使用者のための避難用具も市販されています。
車椅子を使用している人については、重度障害という印象が大きいため、なかなか採用に踏みきれない企業も多いようです。
しかし、施設面での対応ができていれば、業務遂行上の障害は意外に少ない場合が多いものです。
採用を検討する前からむずかしいと決めてかからずに、できる範囲での対応を検討
し、当人に確認したうえで配置を考えれば雇用につながります。