障害のある社員の業績評価をどう行なうべきか
業績評価の考え方
社員の業績評価と処遇への反映方法については、障害の有無にかかわりなく、各企業でさまざまな取り組みがされています。
しかし、これまで多くの企業が年功序列型の賃金体系を導入していたこともあり、業績の評価が直接給与に結びつく例は少なかったようです。
そうはいっても業績をきちんと評価し社員のやる気を喚起することは、人材育成の面からみても重要なポイントになります。
具体的な業績評価は、それぞれの企業で異なると思いますが、どのような評価であっても、障害のある社員にも同じ基準で対応することが望ましいあり方と考えます。
業績評価は、社員一人ひとりの目標を定め、その達成度をみることで可能になります。
障害があることによって遂行できない業務は目標に含めず、また困難と思われる業務については必要なサポートを前提に目標設定することで遂行可能な職務が広がり、業績向上にもつながります。
一方、目標設定に際しては、上司の思い込みから「無理だろう」と目標を引き下げてしまいがちなことに留意して、本人と話し合いながら決めていくとよいでしょう。
評価結果の説明
また評価結果に関しては、障害のある者の立場からは「障害があるということだけでよい評価が得られない」と考えがちであることにも留意して、各観的で公平な評価を心がけることが必要です。
そして目標未達など、結果に問題がある場合にはきちんとそれを指摘し、誤解が生じないように納得のいく説明をすることが求められます。
組織全体の相対評価のなかで、作業量や効率のうえで格差が出る場合などもありますが、それらについても率直に事実を説明し、今後の期待につながるようにしたいものです。
知的障害のある社員の評価に関しては、「知的障害だから仕方がない」と初めからきちんとした評価の対象としていないケースもあるようですが、担当する仕事を根気よく指導することで思わぬ能力が発揮され、本人の成長につながることも多くあります。
最初から評価の対象からはずすというのではなく、それぞれの仕事をきちんと評価して一つひとつ段階を上げていくようにするとよいでしょう。
実際、 知的障害のある人を多く雇用している企業からは、ほめられたり、仕事を評価されたりすることで、急速に成長していくという報告がなされています。
公平な評価を実施するということには常にむずかしさがともないますが、目標に取り組み、期待に応えようとする力が成長につながることを考えると、評価の重要性を見過ごすことはできないでしょう。