障害のある社員の育成やキャリア開発をどう行なうべきか基本的な考え方は?
小嶋翔
株式会社アウロンパートナーズ
経営環境の変化や業務の効率化などによって、従来の担当業務がなくなったり、新しい分野への人員のシフトなどで、社内の異動が以前にもまして多くなる傾向にあります。
これには、基本的には障害の有無にかかわりなく対応すべきですが、障害のある社員の場合には他の職種に転換しにくい状況があったり、新しい環境に適応しにくい人もいるようです。
特に転居をともなう異動の場合には、定期検診のための専門分野の医者がみつかりにくかったり、車椅子対応の住宅がないなど、職業生活以外で問題が起こることがあります。
このような場合には、異動までの期間を十分にとるなり、費用の負担を考慮するなどの対応が望まれます。
近年は、聴覚障害や知的障害のある社員が配属されていた製造現場が自動化や海外移転のために担当業務がなくなり、異動先に苦慮しているという例が共通の問題として報告されています。
長年、慣れ親しんだ業務からの配置転換は障害がなくても苦労しますが、新しい職種への転換や業務の担当替えなどがともなう場合には、特に新しい仕事の習得に時間を要する場合があることにも配慮して十分な教育期間を設ける必要があります。
いずれにしても、対象となる社員のこれまでの経験や実績が活かせるような配置として異動を考えると同時に、会社として諸般の事情で異動がやむをえないものであることなどをきちんと説明する必要があります。
また、障害のある社員の場合には、その異動が障害があるがゆえの差別待遇と受け取られることもある点にも配慮し、真摯な対応が望まれます。